【西アフリカ総合】



『アエロフロート』 No.01

 アエロフロートは偉大な航空会社。その安さもさることながら、着目すべきは世界中に張りめぐらされたネットワーク。ヨーロッパやアジアは勿論、中東やアフリカ、中南米にも多数のフライトを持っている。西アフリカだけでも、七ヶ国くらいは飛ばしているだろうか。
 比較的西欧とは近い西アフリカなのに、あるスペイン女性はモスクワ経由でマドリード、オーストラリアの旅行者もモスクワ経由でマルセイユ。言わずと知れた私もモスクワ経由で東京だ。旅人にとって、かなり大きな存在となっているのかもしれない。



『宿と物価とお金』 No.02

 国によっても多少異なるが、西アフリカの物価はそれほど低くない。宿代は五百円以上は覚悟しておいたほうがよいだろう。超安宿というのはあまり存在しないので、千円前後のつもりでいるのがよいと思う。
 飲み物の目安として、1.5リッターのミネラル水が八十円。普通の水をビニール袋に詰めたものは一円か二円。瓶入りコーラだと四十円というところか。ビールは百円前後。ワインならば二百円程度、もちろん高級ワインは高額だ。但し、アルコール類がとてつもなく高い国なんかもある。
 食事では、屋台で五十円強、安食堂にすればその1.5倍くらい。実際には食べたことはないけれど、見栄えのするレストランだと五から十倍もするようだ。
 銀行や両替所、闇両替などでは思っていた以上にドルが通用する。レートも悪くないようだ。日本円もある程度は大丈夫だけれどレートは悪い。勿論、フランスフランが最も通用しているが、街なかの買い物で直接使えることはほとんどない。お金が残ったあとの使い道や、円からフランスフランへの換金率を考えれば、フランスフランはあまり多く持たないほうがいいと思われる。私は現金主義なので詳しくはないけれど、TCの場合は現金よりも使い勝手が悪いようだ。
 通貨の種類も国によって異なっている。しかし、比較的多くの国々で共通に使用されているのが、シェーファーフラン(CFAF)。現在、1フランスフラン=100シェーファーフランの固定レート。フランスフランのメリットは相場がわかりやすいところかもしれない。



『民芸品と音楽』 No.03

 訪れた西アフリカの国々で、民芸品や楽器なども観てまわった。いかにも、という土産的なものから、現地の人たちが使っているものまで色々と興味深く楽しめる。
 木彫り、真鍮、織物、衣装、アクセサリなど様々なものが売られている。特有の楽器なんかも多くて、作っているところを見せてくれたりもする。写真を撮らせてくれる人もいるけれど、嫌がる人も少なくはない。
 音楽と踊りのショーや練習風景などもとても素晴らしい。音楽カセットも伝統的なものから現代的なポピュラーなものまでいろいろあって、至るところで売られている。土産にはいいかもしれない。
 ガンビア、マリ、ガーナでは楽器の工房を訪ねたりもした。独特の弦楽器や笛、木琴のようなものもある。太鼓(タムタム)は少しばかり練習することもできた。マリで職人の黒人男性から試しに教えてもらったのだ。相手が随分とのってしまったため、結局それに付き合って三、四時間も特訓する羽目になる。
 その甲斐もあってか、ガーナの安宿では意外に役立つこととなる。宿の中庭になぜか太鼓があったので、酒の勢いも手伝って、私がそれを叩きながらリズムをとる。それに合わせて親しくなっていたスペインのセニョリータが踊ったのだ。そのうちに人が集まってきて、ドイツ女性や地元の黒人男女も一緒に踊りはじめる。下手なドラムの私は早くやめたかったけれど、とてもそんな雰囲気ではなく、ずっと叩きつづけたわけ。さすがに黒人やラテン系はリズム感がいい。それに比べて、あとから踊ったドイツ女性や太鼓を叩いていた日本人(私)はいまいちだった。
 そのほか、丸木舟、家具、壁や屋内の装飾や彫刻などにも独自の趣があって、完成品を観賞したり製作現場を見せてもらったりしてとても良かった。



『猛暑の移動と水』 No.04

 猛暑の西アフリカ諸国。移動時の水にはやや苦労する。私は現地の水道や井戸水を飲んでいたのでそれほどでもない。けれど、ミネラル水しか飲まない人だと、けっこう深刻な問題かもしれない。
 当然、現地の水を保証するわけではない。でも、お腹はまったく大丈夫。私は世界中どこの地域でも、現地の人が飲んでいれば飲むことにしている。水の味自体もミネラル水よりも井戸水のほうがおいしく感じられるくらい。それにお湯のように熱くなったミネラル水よりも、ビニール袋入りの冷えている水のほうがはるかにいい。三口くらい飲んで残りを頭からぶっかける。この暑さのなかでは実に爽快だ。
 猛暑の際には、一日の移動で三リッターの水。もし、ミネラル水だけにするならば、五リッター以上は携行するほうが無難だろう。故障なんかで足止めをくう場合も頻繁にありえるからだ。現地の水ならば、途中で補給したり、一緒に移動している地元の人たちから分けてもらうことも可能。しかし、ミネラル水だと移動中に手に入れるのは困難なうえ、現地の人が携行していることもまずない。
 私の場合、非常用にミネラル水1.5リッター、普通に使う現地の水を1.5リッターほど携行していた。現地の水は、普通に飲んだり、トイレの後始末、洗面や食事後の手洗いなどで絶えず使用。勿論、トイレでは紙を使わないし、食事も手で食べる。普通の水が少なくなれば、途中で水売りから買ったり井戸水を分けてもらって補充する。



『屋台の食事』 No.05

 西アフリカの露店や屋台での一般的な食事は主食とスープ。主食のおもな内容は、フランスパンをメインとしたパン類、ライス類、小さなつぶつぶのクスクスのようなもの、白い餅みたいな団子のような固まり、などが挙げられる。それらと、スープやシチューみたいなものをセットにして、手で食べるのが基本だ。
 勿論、一つの屋台でこんなに沢山のバリエーションがあるわけではない。大抵はどれか一種類しか置いていない。スープには魚介類や肉類などがあるけれど、やはり一種類しか作っていない。一種類の主食と一種類のスープに少しばかりの添え物、というのがほとんどのパターン。そんなわけで、自分が食べたいものに合わせて屋台のほうを選ぶことになる。食堂へ行けば、複数おいてあるところもある。
 基本的に食事はスープで食べるものなので、羊肉のスープの場合、鍋には肉が入っているけれど、注文すればスープだけ。肉を入れてもらうのならば別料金。肉の小さな一切れでもスープの値段よりも高い。ライスも量を指定して、それによって値段が異なる。面倒な気もするが、腹の空き具合や予算に合わせて調整できるので便利。貧乏的小金持ちの私は、スープだけでなく具も入れて食べていた。ライス茶碗二杯分とスープに肉一片、それに豆を付けて五十円ちょっと。
 フランスパンのサンドウィッチもけっこうポピュラー。高級レストランに行けば、フランス料理もあるが、私はよく知らない。世界各地に多いはずの中華料理屋はあまり見かけない。中国系の人たちの姿もほかの地域に比べてなぜか少ないような気がする。




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