【11月24日(火曜日)4日目】
早朝六時前、空港へ向かうようこちゃんを部屋の出口まで見送り別れを告げる。彼女もこの四日間の短い旅を満喫できたようだ。「たった四日だなんて信じられない」とも言っていた。
もう一眠りして、ダイビングへ出発。ピックアップを待って、一昨日と同じように船着場へ向かう。小舟でクルーザへと乗り移り出航。簡単な説明を受けて、朝食。このツアーでは朝食まで付いている。ダイビング会社によって料金が異なるのは知っているが、朝食付きで一昨日のツアーより600バーツも安い。前回は遠いラチャノイまで行ったのを考えても安い気がする。
さて、今回のダイビングはラチャナイで二本ほど潜る。ポイントへ着くまで、いつものようにデッキでごろごろ。波も穏やかで快適快適。ポイントに近づくと、バディを決めてブリーフィング。昼食を挟んでツーダイビングをこなす。内容的には一昨日潜ったポイントと似たような感じだが、海中を浮遊しているだけでも気分は最高。食後の休憩時には、クルーザから泳いでラチャナイ島へ上陸。岩肌に寝ころがってのんびり。
クルージングを楽しみながら帰港。途中で曇ってきたものの、けっこう満足。小舟に乗り換えて上陸、ミニバスで宿まで送ってもらう。
シャワーを浴びて、しばらく休憩。身支度を整えてから、J&Rを訪ねる。明朝の空港へのピックアップを頼んで、レイコさんに今回のWTC交流旅行でみんながお世話になったお礼などを交わす。「今度、いつ来るんですか?」と聞かれ、「一年後には来れると思うよ」と答えて別れる。
独りなので夕食は庶民的な食堂でシーフード焼きそば25バーツ。すぐ飲みにいくつもりだから、軽く済ませる。腹が減れば、また食えばいい。気軽でわがままに行動できるのが一人のいいところだ。
早速、ゴーゴーバーへ入る。まだ早い時間のため、サービスタイム。50バーツのビールを注文して、美女のダンスを観賞。この店では、四人の女のコと喋るが、十九歳のコが一番気も合い、店を出るまで一時間ほど話がはずむ。スタイル抜群のすげぇ美女、しかも気さくで愛嬌があってとてもいいコだ。ほかのコからは、ドリンクを奢ってくれ、とひつこく言い寄られるが、このコはそんなことも言わず、ずっとぴったり寄り添って会話を楽しめる。店のシステムとかもいろいろと教えてくれて、そこそこ英会話の練習にもなる。
彼女もやはりほかのコ同様、店から連れ出してぇ(はあと)、とは熱心に口説く。気に入られたのか、単なる商売なのかは知らないが、いいほうに解釈するほうが楽しめるというものだ。お金を持っていない、なんて適当に断れば、近くでキャッシングできるから一緒に行ってあげよっか?、この店はカードでもOKなのよ、とのこと。でも私は、貧乏なのは勿論だが、元々女性を買ったりしないので丁寧にお断りする。結局、たったビール一杯飲んだだけで、トータル二時間も女のコと楽しんで店をあとに。とても可愛くていいコだが、自分の主義を曲げることはできない。残念な気もするが、まあいつものパターンである。
そろそろ盛り上がっている頃だろう、とショーバーへ移動。カウンターのなかでも最もよく見える位置を陣取る。ここのショーはなかなかのもの。「アジ」、「ヘビ」、「カミソリ」などの芸を惜しげもなく披露。まえに見たこともあるが、久しぶりに見るとそれなりに感動する。が、続けて見るようなものではない。とりわけ、「カナリア」や「コーラ」の芸は圧巻。とくに「コーラ」は、普通に想像される技とは異にするものだ。
ようこちゃんが期待しつつも目にすることが叶わなかった「カメ」や「吹き矢」にもお目にかかれた。帰国後、ようこちゃんに「つぎの日、べつの店でカメが見れたよぉ」って伝えると、「えぇ、なんでー。たかさんだけ、ずる〜いぃ」とのリアクリョン。一足先にプーケットを去ったあきこちゃんも興味津々だったが、バンコクのパッポンでSEA GULLさんに連れて行ってもらったのだろうか。考えるに、意外と女性のほうが好奇心旺盛なのかもしれない。
そんなこんなで、それなりに女性芸を堪能して店を出る。ここでもウィスキー一杯で二時間近くも楽しめたから、けっこう安上がりなバーのハシゴだ。
その後、宿のまえのオープンバーで、女のコとゲームを楽しむ。このコはそんなに可愛くはないが、気立てが良くて話しやすい。すぐにうちとけて、釘打ちゲームをはじめる。盛り上がって腕も疲れたころ、今度はカウンターでビールを飲みながらべつのゲームを……。赤と黒のメダルを先に4つ並べたほうが勝ちというもの。私が勝てば、彼女は熱いキスで祝福してくれる。五、六回ほど続けて、勘を取り戻す。「ビールを飲んでもいい?」って彼女が聞くので、「十回やって勝ち越したら奢ってあげるよ」と約束する。結果は三勝七敗。やはり、毎日練習している彼女には、ちょっと慣れた程度では敵わない。彼女にビールを注文してあげるが、女性用ドリンク100バーツではなく、お客用ドリンク70バーツとして付けてくれる。
それからも、いろんな話題で盛り上がる。日本やタイの話、彼女の境遇や身の上話。なかなか苦労してきたらしい。ゴーゴーバーのコよりも、こんなオープンバーにいるコのほうが、厳しい境遇で苦しんでいる人も多い。二十一歳の彼女には、二人の子供がいる。ありがちなことだが、身分証明書や子供の写真まで見せられる。旦那とは既に別れ、田舎の両親に子供をあずけて出稼ぎに来ている、とのこと。いまの店のボスや元旦那の悪口や愚痴……。私は安易に同情などしないが、複雑な仕組みや内情もわかって勉強になる。
彼女の故郷のことでも話がはずむ。私もいっぱしの旅行者、世界各地やタイ各地など、至る地域を旅している。そのおかげで、訪れたことのある土地も多い。世界各地には出稼ぎの人やいろんな国の旅行者が多いから、話のきっかけや話題の広がりにも役立つ。話がすぐに通じるし、具体的なイメージもよく掴める。彼女は紙にタイの地図を書いて、あれやこれやと説明する。私も知っている土地だから、けっこう二人で盛り上がれる。
やはり彼女からも「連れ出してっ! あなたのホテルへ行きましょ」と頼まれる。「店に200バーツ、自分は400バーツでいいから……」と言う。安めの相場だが、「おれはそんなことしないから……」と説得。いつもながら申し訳なく感じてしまう。
そうこうして結局、店じまいの午前三時過ぎまで二人で一緒にわいわい過ごす。彼女のぶんも入れて、ビール二杯(140バーツ)で三時間ちょっと。まあ、これを払えば、出国税の500バーツを除いて、あと200バーツ少々しかないとはいえ、三つのバーをハシゴして、こんな金額(270バーツ)で、明け方まで目一杯楽しめるとは、我ながらいやはやなんとも……。
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