WORLD体験記ご紹介(新作)


 WORLD体験記(W体験記)は、これまで経験した数々の旅で、得たことや体験した出来事、感じたこと、考えたことなどを、体験記としてランダムに綴ったものです。
 この体験記はあるプライベートな目的のために、十五年くらいまえから書きはじめました。公開するつもりで書いたアーティクルではないため、極個人的な話やアクが強い内容が多いですけれど、そのなかでも比較的一般向けに耐えうると思えるものをここへ紹介したいと考えています。新作や旧作を交えながら、世界中のいろんな地域での話を載せていくつもりです。
 W体験記はこの新作ページ上では常時一作品を掲載する予定です。異なる体験記を掲載する際には、以前掲載していたものを削除してからの入れ換えとなります。以前の作品をご覧になられたい方は「W体験記インデックス」から参照してください。
 W体験記は一話完結型のトピックとなっています。興味深くお読みいただければ幸いです。

補足:
 新作とは、最近の旅での出来事や新しく書き下ろした体験記というわけではありません。新規にホームページへ登録したという意味であり、以前に書いた体験記や昔の旅の話の場合もあります。


IMAGE-DATA

〜W体験記★パイネ国立公園を訪ねて〜


 『パイネの日記』


チリ/プエルト・ナタレス


 我が輩は旅人である。名前はパイネ……ではない。
 今日は2002年1月1日。海外旅行のキャリアは20年にもなるが、海外で年を越したのはこれが初めて。元旦ということもあり、気持ちも新たに旅日記を書いてみることにする。

IMAGE-DATA  これからパタゴニア南部のチリ側ではハイライトともいえるパイネ国立公園を巡るツアーだ。ピックアップのランクルはプエルトナタレスの街をひとまわりして、定員ぴったりの参加者を乗せて出発。湖には体が白くて首が黒い白鳥もどきが優雅に漂う。その彼方には残雪を頂く峰々も見える。

IMAGE-DATA  緑の大地と所々にある岩山、遠くには高い山々。そんな風景のなかをしばらく走り、ミロドン洞窟へと到着。古代パタゴニアにミロドンがいたらしいが、はじめて知った。このツアーに参加しなければ、たとえパタゴニアを旅したとしてもミロドンの存在を知ることはなかっただろう。ミロドンとは何者なのか? タネは明かさ……いや、ネタは明かさないので、興味がある人は調べてみると面白いかもしれない。

 とりあえずミロドンと記念写真を撮って先を急ぐ。途中、休憩を挟んで一路パイネを目指す。上空ではぐるりとコンドルが舞って旅人たちを歓迎する。間違ってもトンビなどと指を差してはならない。怒りをかって攻撃を受ける。タカと間違えるのならばコンドルもきっと大目にみてくれるだろう。

IMAGE-DATA  ダート道をひた走る。だいぶ高い山々が近づいてきた。グアナコ(ラクダの仲間でリャマみたいな動物)やニャンドゥ(ネコの仲間ではない。ダチョウやエミューみたいな鳥)、キツネ(寒いけど北キツネではない)などを見かける。もうパイネも近いようだ。
IMAGE-DATA
 脇道に入り、アマルガ湖畔まで進む。真っ青な水を湛えた美しい湖。その向こうには名の知れたトレース・デル・パイネの3つの岩峰が聳える。抜群の景観。国立公園にはまだ入っていないが、パイネへの期待が否が応にも高まる。湖畔には侵食されて丸っぽくなった大小の岩が無数に転がる。後方でキツネを発見。ブッシュを掻き分けて追ってみる。

 ところどころで車を停めながら、説明を受けたり、景色を楽しんだり。グアナコの群れがいたので車を降りて一緒に写真を撮る。どこも背景が良いため、とても絵になる。

IMAGE-DATA  登り坂が増える。IMAGE-DATA水色っぽいクリーム色の塩湖に寄ったあと、パイネ川を逆上ってパイネ滝を観賞。さほど高さはないが幅は広くて壮観。なにより渓谷の眺望がいい。あたりを埋めつくすパタゴニア特有の風化した木々が最果ての地を思い起こさせる。

 やや引き返すような感じで国立公園のゲートに到着。個人でエントリーフィーを支払い、案内パンフを受け取る。少し説明を受けてから車に乗り込む。

 いよいよパイネ国立公園へと突入。世にも知られたグレイ氷河、グレイ湖やペオエ湖ほか多くの美しい氷河湖、パイネ山をはじめとする壮大な峰々……、期待に胸がふくらむ。これからはさらに見所が目白押しで、観るだけでもいろいろと忙しくなりそうだ。
 今日は元旦、気持ちを新たに変えて、これにて旅日記はやめることとする。

IMAGE-DATA  IMAGE-DATA  IMAGE-DATA

  〜 パイネの日記 おわり 〜


ホーム位置W体験記インデックス