【1月18日(日曜)/6日目】
『アベック原ちゃりツーリング!』 No.28
朝9時、二人でバイクに跨がって出発!(いや違った、りん☆さんは横座り) カブ形式のギヤにも慣れて、快調にとばす。予定としては、滝を訪れるサムイ島一周のツーリング。その他は、時間をみながら寄る場所を考えよう、といった感じ。
まず、ナトンの街へ寄って、港まで行ってみる。それから、ヒン・ラ滝の入り口を通過し、田舎の一本道をひた走る。ジャングルっぽい片田舎の風景を眺めながらバイクを走らせる。それだけでも楽しいけれど、後ろにりん☆さんを乗せているぶん、なお一層いい。メット無しで原チャリだから、お喋りまで楽しめる。
『ジャングルを越えると、そこは?』 No.29
幹線から脇道をのぼり、滝の入り口へ到着。「ビッグ・フォールね! 行きが30分、帰りは20分」と、店のオヤジ。どうやら、サムイ最大のナ・ムアン滝らしい。ここはけっこう歩かなきゃ……、って知っていた。だから、この近くにある殆ど歩かなくてすむサムイで一番メジャーなもう一つのナ・ムアン滝のほうへ行くつもりだった。りん☆さんに長い山道を歩かせるのが心配だし、自分もあまり歩きたくないし、時間も限られているから……。でも、まっいいか。
バイクを置いて、山道へ分け入る。いきなり急な登り。きつい。どんどん先へ進むりん☆さん。意外にタフ、侮れぬ。彼女の心配なんてしている場合じゃない。歩くのはダメじゃないけど、登りが苦手な私。しかもこの旅行中、まともに歩くことなく、自堕落な日々を送っていたから足も重い。「わたしはボプットの街とワールドリゾートを何度も歩いていたからぁ」と、りん☆さん。う、あんな遠くに宿をとったのには、こんな布石があったとは……。
両側に鬱蒼とした木々。狭い山道を登りきると、少し下って、広い草原っぽい場所へ出る。取り囲む山々とジャングル、草原に立つヤシの木々。ほぼ平らな道を景色を楽しみながら歩く。楽ちん楽ちん。しかし、道しるべは分かりにくい。
また、登りの山道になる。ジャングルの木々の合間からは川のせせらぎも聞こえる。が、一向に滝へは辿り着かない。
「わたし、寒いところ(オーロラ)と、ジャングル(ギアナ高地)だけには、行かな〜い、なんて言ってたのに、こんなジャングルを歩いてるなんてねー、笑えちゃって……」 おもろいぞ、りん☆さん。彼女と一緒だから、つらい登りもそれなりに楽しく過ごせる。
轟音が遠くに響く。80メートルの滝がやっとその姿を現す。さらに上部の滝つぼを目指す。目標を目の当たりにすれば、なぜか元気が出てペースもあがる。すると、りん☆さん、滑ってこける。「だいじょうぶー?」
ずっと登って汗だく。服を脱いで飛び込む。ひゃぁ、つめてー! 半端じゃない。でも、熱い体には気持ちいい。流れる滝に打たれる。凄い勢い、呼吸もできない。低温が超苦手なりん☆さんは、水の冷たさにビビる。「入っちゃえば、すぐに慣れるから」「折角ここまで来たんだし、もう二度と来ることはないかもよ」 意を決して突入する、りん☆さん。滝に打たれる姿をカメラに納める。笑ってポーズを……。が、冷たさと滝の勢いのせいか、その笑顔はぎこちないような。
『メジャーなもう一つの滝とは?』 No.30
最大の滝から戻り、今度はメジャーな滝のほうへ。すぐ近く。バイクを停めると駐車料金5バーツを取られる。かなり観光化されているようで、多くの店や土産屋も並んでいる。
1分も歩かないうちに、滝が現れる。扇形に広がる滝の流れる様はとても美しい。絵ハガキの図柄にもなっている。不思議と滝つぼで泳いでいる人はいない。
「あの人たち、ワールドリゾートに泊まってるカップルの人たちよ」
「え、そうなのー。じゃ、夜中にエッチする声、聞こえてきたぁ……?」
日本人カップルに対し、妙なツッコミをいれる、シモネタ苦手な私である。
『ひょっとしてカップルなのかな?』 No.31
昨日、ダイビングでも訪れたヒンタ・ヒンヤイに寄る。やっぱり観光客が多い。泳いでいる人も。私はビーチよりも、こういった岩場で過ごすほうが好き。平らや丸っこい岩場だともっと好き。「ここで海水浴するのがいいねぇ」と、二人。
バイクから降りて歩いているとくそ暑い。が、走り始めると快適。日差しは強いけれど、風が気持ちいい。気分は恋人か!?
「ね、りん☆さん、どっからみても、おれたち、カップルにみえるよねー?」
今度はビューポイントでバイクを停め、写真を撮り合う。すると、二人の写真を撮ってやる、と外人さんがのたまう。カップルが基本の欧米人は、シャイで遠慮がちな一人一人写真を撮り合っているようなペアは許せない。だから、こんなシチュエーションで写真を撮っていれば、いたたまれないのか、お節介にも必ずそう声をかけてくる。もちろん、私たちは遠慮しているわけではない。
「ほらほらぁ、誰がみても、やっぱ、カップルとしか思えないんだよー」
『シャワーを浴びて、昼食を!』 No.32
ワールドリゾートへ戻り、急いでシャワーを浴びる。替わって、りん☆さんがシャワーを浴びているあいだに荷造り。一度ばらしてザックへ詰め込む。
荷物を持ってボプットの街へ飛ばし、バイクを返す。空港までの送迎を頼んだあと、馴染みの安レストランで、りん☆さんと昼食。ここが初めての彼女は、安いわねー、と感激!
サムイであったことなどを色々と話しながら、二人で最後の食事。これでサムイの楽しい日々ともおさらば……、やや感傷的になってしまう。いやじつは、サムイを離れることより、りん☆さんと別れるほうがつらいのかもしれない。
ここの飯代はりん☆さんの奢り。さすが太っ腹! 自称貧乏人、他称お金持ち、隅に置けない……。別れの挨拶をすませて、すぐまえのショップの車で空港へと出発。りん☆さんがずっと手を振っていてくれる。
『後ろ髪を断って旅立つ?』 No.33
サムイの空港へ向かいつつ、ちょっと無理して、後ろ髪をばっさり断ち切る。新しいヘアースタイル、……じゃなくって、新たな旅のはじまり。旅人は気持ちの切り替えも早い。過去を捨て、未来の旅へと夢をはせる。
まつまつさん、いや、パッポンが私を待っている。今や遅しと手招きしている。ブルーな感傷に浸る暇もなく、バンコクへ向けて旅立つ。
『屋台での夕食は?』 No.34
ドンムアン空港へ到着。夕方の渋滞を考慮して、早めの移動。初めてエアポートバスを利用する。シーロム通りを走るA1のバス、運ちゃんに「パッポン」と告げて乗り込む。70バーツ。
午後7時、高速をおりて少し混んだ程度で1時間も経たずに到着。周辺をぶらぶら散策。ポン引き、おとなのオモチャ、エッチビデオの売り込み……etc、なかなか活気があるでは。
コンビニで酒を買い込み、屋台で夕食。ビールを片手に立ち食い。屋台は好きだけど、冷えたビールがないのは玉にきず。屋台を四軒ハシゴして、350mlのビールを三本空ける。
まだまだ待ち合わせまで時間があるから、バーや土産屋とかをひやかしてまわる。それほど厳しくない勧誘がまた楽しめる。
『パッポンでハシゴ!』 No.35
夜9時すこし前、まつまつさんと待ち合わせの場所へ。「パッポンの入り口」としか、話していなかったが、たぶん「パッポン1がシーロム通りと交差する地点」だろう。
9時にしっかり合流。早速、大混雑の小道を流し、客引きをあしらい、良さそうなバーを物色する。でもって、1時過ぎまで、ゴーゴー、オカマ、ショーバーをハシゴ。まつまつさんはやや躊躇っていたが、二階の怪しげなバーにも長居。パッポンでの飲み代はチップ込みでも総額440バーツ(千百円)。これだけの長時間、いろんな店で、いろんな女の娘とわいわい過ごして、千円ちょっと。
女性はパッポンのほうがいいかもしれないが、オカマならプーケットに軍配をあげる。ショーもプーケットのほうが迫力はあったような。総じて、パッポンは危なそうなバーも多く、プーケットのほうが安心して飲めると思われる。
『不思議な女性との出会い?』 No.36
まつまつさんと別れたあと、明け方まで時間を潰すため、パッポンから少し外れたパブで飲む。2時ころ、場所を変えようかな、と考えたところ、とあるタイ女性と知り合う。
バー所属の女性ではないらしい。でも、どう考えても商売関係の女性だよなぁ、と思いつつも一時間くらい楽しく喋る。するとそのうち、ホテルへ行こう……、みたいな感じで誘われる。お金持ってないしー、5時半までに空港へ行かなきゃなんないからー、とさりげなく断る。(女は買わない主義だし、マジに金もない)
「いくら持ってるの?」
「(サイフのお金を数えて←律儀)えっと、780バーツ! ここの飲み代を払って、タクシー代の300バーツ(多めに)も残さなきゃならないから、使えるのは400バーツかな」
「じゃあ、ノープロブレムよ。近くに250バーツの安ホテルがあるから」
「……ふーん、きみはお金目当てじゃないの?←失礼なヤツ」
マジにお金は要らないようだ。その手の女性ではないのだろうか。250バーツの宿はエアコン付きで、すぐこの近くらしい。場所をしっかり記憶。パッポンに近いし便利だから、トランジットでバンコクへくるときは、そこに泊まろう。
4時半、ポケットのアラームが鳴る。
「今度いつ、バンコクへ来るの?」 そう言って、彼女が連絡先をよこす。
「じゃあ、もう行かなきゃ。またこんど機会があれば逢おうよ……」
まあ、出会いとはこんなものかも。ウルトラセブンの最終回のような気分とセリフで、彼女に別れを告げる。
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