〜 韓国W杯観戦記 〜

日韓共催のワールドカップサッカー観戦のためにWTCメンバーと韓国へ訪れたときの旅日記です!


【プロローグ】



IMAGE-DATA  2002年6月21日(金)から23日(日)の3日間で、韓国へワールドカップサッカー観戦旅行に出かけた。
 6月22日(土)の15:30から光州で行われる準々決勝のチケットを125ドルで正規に確保。韓国へは格安航空券ではなく格安ツアーを利用。往復航空券、ホテル2泊、夕食2回、昼食1回、ソウル市内観光、ロッテワールド入場、そのほかに免税店や土産屋訪問などが含まれる金曜発の3日間ツアーを3万円の料金で手配した。そして、ツアー2日目の観光や食事を捨てて、土曜日は光州まで出向いてW杯観戦へ臨むことに決めた。

 今回のW杯で最も観たかったチームはスペイン。この準々決勝ではスペインvsポルトガルが第一希望だった。スペインは予想通り一次リーグを3連勝で1位突破。決勝トーナメント一回戦ではPK戦までもつれたが、粘るアイルランドを振り切りベスト8。準々決勝まで順調に駒を進めた。
 一方のポルトガルは、一次リーグ初戦で負けをきっし、続く2戦目こそ勝利を上げたが、最終戦で韓国に破れ、1位通過は韓国となり、決勝トーナメント進出を逃してしまった。そんななか思惑通り、イタリアが一次リーグを2位で通過、決勝トーナメントはこちら側にまわったため、トーナメント一回戦は「イタリアvs韓国」と決まり、人気、実力ともに充分なイタリアと、強豪ポルトガルを破りなかなかの強さを見せて地元開催に燃える韓国との闘いとなった。結果、延長戦の末、韓国の逆転勝利となり、22日の光州での準々決勝は「スペインvs韓国」に決まった。


【6月21日(金)初日】



IMAGE-DATA  昼に成田空港を出発。現地で係員の出迎えを受け、大型バスにてソウル市内へ移動。空港とバス内のTVで準々決勝の第一試合「ブラジルvsイングランド」を応援。免税店に到着するが、ブラジルの勝利が決まるまで車内に残り、試合の行方を見守る。

 ツアーの人たちが免税店で買い物をするあいだにコンビニへと走り、食料やおつまみ、ドリンクやお酒などの買い出し。バスに戻って夕食のレストランへ移動する。メニューはプルコギ。もちろんキムチほかいろんな品々も並ぶ。ツアーのレストランは高級なので酒の値段も高い。買い出したソジュ(韓国焼酎)を取り出して飲む。
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 市内のホテルをまわりチェックインしながらツアー客を降ろしていく。一番最後のホテルだったので、そのあいだずっとバスにて準々決勝の第二試合「ドイツvsアメリカ」を観戦する。ドイツの勝利が決まったあとホテルへ到着。周辺の散策&買い出し後、部屋で酒を飲みながら今日の試合の再放送を観て、深夜1時半過ぎに就寝。


【6月22日(土)二日目】



 まだ薄暗い早朝5時に起床。5時半の地下鉄の始発に乗り、高速バスターミナルへ。バスのチケットを買って朝食。バス料金は14000W(1円=約10W)。バスは1〜3分毎に出発。W杯のためかさすがに大量輸送を可能としている。ターミナルは赤いTシャツを着た韓国人でごった返している。日本人や外国人の姿もそれなりに見かける。
IMAGE-DATA  4時間かけて光州へ到着。ソウルに増して赤いTシャツの人で充満。さながら赤の軍団といった様相。韓国旗を携える人も多い。博物館を訪ねようと思っていたが、付近を散策したり、早めにスタジアムへ行って、W杯の雰囲気を味わうことに変更。露店のW杯グッズ売りをひやかしながらうろうろ徘徊する。帰りのバスを予約。余裕を持たせるつもりで19時半頃のバスにしようと考えるが、MARIちゃんの提言でPK戦までもつれ込んでもさらに余裕を持たせて20時過ぎのバスにする。
IMAGE-DATA  ビビンバの昼食(3000W)を取り、30分くらい並んだが無料のシャトルバスでスタジアムへ向かう。スタジアム周辺はさらに赤の軍団が増殖している。雰囲気を楽しみながら周囲を探索して入場。セキュリティチェックを通り、荷物検査。ペットボトルのドリンクやソジュを紙コップに移される。
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IMAGE-DATA  スタジアム内では試合開始の遙かまえから応援で盛り上がっている。その雰囲気に自然とテンションが高まる。赤の軍団に紛れてスペインのラウルのウェアを着た人が点在。日本や他国のユニフォーム姿の人たちもちらほら。だが、遠目からは赤の軍団で埋めつくされているように見える。
 選手達が出てきて練習をはじめる。一斉に歓喜の声があがる。しかし韓国選手のときだけ。その差は圧倒的で歴然としている。さすがホームは違う。
IMAGE-DATA  オープニングセレモニーの開始。入場する選手と子供たち。大統領も現れる。いよいよ準々決勝の第三試合「スペインvs韓国」だ。期待どおり見事に勝ち上がってきたスペイン。対戦相手の第一希望だったポルトガルは残念ながら敗退したが、韓国はポルトガルやイタリアを撃破、なにより地元開催なので凄まじい盛り上がりだ。韓国は強豪チームを破っての準々決勝進出。心身ともに充実、気合いも相当なものだろう。そのうえ初のアジア開催で自国の試合、韓国側の応援は壮絶を極め圧倒されてしまう。スペインには気の毒にも思えるが、これがアウェの掟。最後まで持ち味である攻撃の手を緩めないで闘い抜いてほしい。そして11名のフィールド選手はべつにしても、12番目の選手と呼ばれるサポータ、13番目の選手と皮肉られる審判には負けてほしくない。ともかく、両チームとも死力を尽くしていい試合をしてほしい。

IMAGE-DATA  キックオフ。試合中ずっと韓国の応援が響き続ける。太鼓に歌に大合唱。韓国選手が球を持つたびに歓喜の声が上がる。スペイン選手が球を持つだけでブーイングがとぶ。アウェの厳しさ、その落差は著しい。スペインサポータの僅かな一角、その懸命な声援も赤の軍団の応援の激しさにかき消される。中立的な外国人席も韓国応援の人たちで溢れている状況だ。
 それはともかく、やはり生のW杯観戦は格別。この高揚感、興奮度もケタ外れだ。W杯は準々決勝が最も面白いと称賛されるが、まさに白熱した攻防。臨場感がなんともいえない。互いの技術、肉体、気力が火花を散らす。その闘志、気迫が激しく肌で感じられる。
 幾度かスペインのシュートがゴールへ突き刺さるが残念ながら無効。オフサイド、ファール、ラインアウト、ゴール裏の席から見て明らかなものもあるが、この位置からでは判断しかねるゴールもある。90分間の攻防は0対0のまま決着がつかず、延長戦へと突入。熾烈を極めた延長前後半の30分に及ぶ死闘でも勝敗は決せず、PK戦までもつれ込む。

IMAGE-DATA IMAGE-DATA  韓国の勝利が決まった瞬間、スタジアムは熱狂の渦に包まれる。歓喜に湧く選手と観客。場内のボルテージは最高潮に達する。騒然とするなか、韓国選手のパフォーマンス。手をつないでフィールドを疾走、ゴール前でのダイブスライディング。暫くのあいだ、その熱狂のなかに身を置いて余韻に浸る。
 PK戦は応援していたゴール側で行われたため間近で観戦することができた。航空便のスケジュールのためだろうか延長戦に入って惜しみながら去る人や、交通の都合か混乱を避けるためかPK戦で決着がつくと同時にダッシュで帰る人も見かけた。反対に、チケットを入手できずスタジアム外で応援していたと思われる大勢の人たちが、試合終了直後にスタジアム内になだれ込んで、観戦していた同士とともに大声でエールを送り続けていた。

IMAGE-DATA  勝利に酔いしれ興奮する赤の軍団に交じってスタジアム外へ出る。太鼓を叩いて踊りまくる人、国旗を振りかざして走りまわる人、周囲はみんな絶好調。騒然とごった返すなか、1時間近く経ってやっとシャトルバスに乗る。国旗を高らかに掲げて路上を練り歩く集団。車の窓やサンルーフ、トラックの荷台、バイクの後ろに跨がって、旗を振りクラクションを響かせながら闊歩する車両も多い。街中、赤の軍団一色で埋めつくされ、まるでお祭騒ぎといった感じ。そんな大渋滞のなか、20時少しまえに高速バスターミナルへ到着。かなり余裕を持たせたつもりが、バスの出発時刻ぎりぎり。20:11のバスにして正解だった。
 当然の如く、バスターミナルも大勢の赤の軍団で賑わっている。そんな状況に後ろ髪を引かれつつも光州の街を後にする。バス内では準々決勝の第四試合「セネガルvsトルコ」をTV観戦。再び4時間をかけてソウルへ向かう。トルコの勝利が決まり、その後、スペインに勝利してベスト4決定、準決勝進出に韓国中で喜び勇み大騒ぎする赤の軍団の姿が映し出される。準決勝の当日は休日となるようだ。さすが国中が一丸となっている。

IMAGE-DATA  深夜0:30頃、ソウルへと帰還。バスターミナルから地下鉄でホテルを目指す。本数は少ないがW杯の試合がある日は2時過ぎまで地下鉄を運行させている。車内の網棚にあった韓国の勝利を伝える新聞に目がとまる。素早い。号外ではなく分厚いスポーツ新聞だ。
 乗り換えや待ちに時間を取られ、1時半過ぎに最寄り駅へ到着。このあたりはソウルの中心街ではないにも関わらず、真夜中なのにそれなりの赤いTシャツの人々で賑わっている。道路には旗を振ってクラクションを鳴らしながら走りまわる車も多く見かける。
IMAGE-DATA  W杯観戦の祝杯&最後の晩餐ということで、近所の食堂にて焼き肉で乾杯。骨つきカルビ(5000W)、キムチ各種のほかにチゲも出てくる。興奮覚めやらぬまま3時半過ぎに就寝。


【6月23日(日)最終日】



IMAGE-DATA  2時間ちょっとの睡眠で起床。6時にチェックアウトして、迎えのバスで出発。キムチや土産屋に訪れてから空港へ向かう。ツアーなので楽ではあるが土産屋に付き合わなければならないのが玉に傷。

 今大会前は不調で評判が良くなかったドイツやブラジルであるが、フランスやアルゼンチン、イタリアなどを外して、この2チームを優勝候補に押した。応援するチームはプレイスタイルの好きなスペイン、ポルトガル、ブラジルであるが、そんなことより白熱したいい試合を少しでも多く観たいという気持ちが強い。幸い優勝候補に挙げた2チームは何れもベスト4への進出を決めているが、このさき韓国にもいい試合をして勝ち抜いてもらいたい。
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 アジア初のW杯、日韓で開催されることは一生のうちではもうないかもしれない。国を上げての盛り上がり、赤の軍団の凄まじいパワー。贔屓のスペインは負けてしまったが、アジア初のベスト4を勝ち取った瞬間に出会えたのは何よりも嬉しい。この歴史的瞬間を生で観れて、生き証人となれたことは千金に値するかもしれない。この壮大な盛り上がりと興奮を直接肌で感じて実体験できたことはとにかく最高だった。W杯はこれからもずっと感動を与え続けてくれるだろう。そんな思いを胸に留め、短い滞在だった韓国をあとにした。



 韓国W杯観戦記 おわり


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