【タイ南西部旅行概況】  2008年12月26日(金)から2009年1月5日(月)の年末年始絡み の11日間にてタイ南西部へ訪れた。  航空会社は、往路が中華航空(CI)で台北乗継の成田発バンコク行、帰路が ノースウエスト航空(NW)で直行便のバンコク発成田行。往路がエコノミー、 帰路がビジネスクラスの無料券をNWの2.5万マイルにて発券した。  約1年前の予約開始と同時にブッキングを試みたものの、残念ながら帰路はビ ジネスクラスしか取ることができなかったが、2.5万マイルにて高価な年末年 始の航空券が入手できたし、破格の燃油サーチャージも取られなかったし、帰り はビジネスクラスで贅沢できたことを考えるとけっこう得した気分にもなれる。  今回の旅行は約1年前にバンコク往復の無料券だけは押さえていたものの、旅 程については現地到着までほとんど検討していなかった。旅行方面だけは、タイ 南西部、タイ南東部、ラオス南部といったあたりを候補にアバウトに迷っていた が、最終的には行きの機内でタイ南西部を旅することに決めた。  といっても、この時点ではまだ具体的な行程はあまり考えておらず、陸路でプ ーケット島までは南下しよう、できればシミラン諸島(ダイビングクルーズ)へ 行きたいなぁ、年越しは華やかなパトン(プーケット島)で迎えたいなぁ、久々 にピピ島にも訪れたいなぁ、といった雰囲気で、実際の行程は旅しながら決めて いった。  結果的に旅した行程の概略は(−:陸路、〜海路、〈〉内はダイビングクルー ズ、細かな移動は省略)、バンコク−カオラック〈〜シミラン諸島〜スリン諸島 〜〉プーケット島〜ピピ島〜クラビ−バンコク、といった具合で、図らずも「タ イ南西部チープリゾート&ダイビングの旅」となった。  にしても、これだけのリゾートを連続して訪れたのはこれまでの旅で初めて。 再訪の場所も多かったが、念願だったシミラン諸島&スリン諸島に行けたのはも ちろん、プーケット島(パトン)でのカウントダウンも堪能できたし、念頭にな かったカオラックまで楽しめた。4年前に再訪しようとクラビまで行ったにも関 わらず津波の被害で渡れなかったピピ島も十数年ぶりに満喫できた(その旅では 代わりにお初のランタ島へと渡った)。  為替レートは1バーツ(B)=約2.6円。1ドル=約90.5円。  現地費用は約1万3千円(ダイビング代を除く現地総費用。宿代、移動費、食 事、酒、観光費、遊興費ほか諸々を含む)。一日当たりにすれば千円少々といっ たところから考えれば、最近の金融危機のせいでバーツもかなり下落しているも のの、チープとは言えどピーク時期のリゾート滞在が多かったわりに思ったより も安かったと思う。  タイ南西部を旅することにしたので、リゾート滞在がある程度想定され、年越 しが絡むドピーク時期でもあり、宿や様々なものが高く付くことも危惧されたた め、空港のATMにてわたしとしては破格の10000Bもの大金をキャッシン グした。手持ちのバーツを若干持っていたとはいえ、結果的に手元に5000B 以上も残ったので実際に使ったのは約5000Bといったところだろうか。  これでも日焼けローションやサンダル、ウエストバッグ等の日用品も買物して いるし、食事やお酒、ディスコ、ショーバーなど、リゾートということもあって それなりに豪華にやったので、普通に過ごしていればもっと出費は少なく、総費 用が1万円くらいで一日当たりだと千円を割っていたかもしれない。  予想通りリゾートのピークということで宿は混んでいて高めだったが、そんな なかでもわたしはわりと空いていて安い宿を知っていたし、年越しではフリービ ュッフェや終日ハッピーアワー(無料や割引)が多くて、食べ物や飲み物やショ ーなどが予想に反して安く済んだ影響もあるかもしれない。ダイブクルーズ中に 出費がなかったのは最も大きいだろう。  カオラックの訪問は初め念頭になかったが、バンコクの新南バスターミナルで 突然思い立って寄ってみることにした。初めて訪れたが噂どおり多くの欧米人で 深夜まで賑わっていた。そのわりに日本人の姿は見かけなかった。欧米だとけっ こうメジャーでかなり栄えているリゾートにも関わらず、さすが「日本のガイド ブックに載っていない」と日本人旅行者はほとんど行かないようだ。  以前から念願だったシミラン諸島行きでは2泊3日のダイビングクルーズにて シミラン諸島&スリン諸島を訪れた。元々のダイブクルーズ料金がそんなに安く ないうえ、各国立公園の入域料やレンタル器材代までかかるため、それなりの出 費となってしまったが、いろんなダイブショップや旅行社をまわって交渉した結 果、かなり値引いてもらうことができた(1万円以上は値引いてもらったがそれ でも総額で約4万5千円くらい)。  これらの海域でダイブクルーズを運航している会社はいくつかあって料金(定 価)も異なっている。それらを取り扱っているダイブショップや旅行社となれば 山ほどあって料金(定価)はクルーズ会社が同じであれば同一のようだったが、 店ごとに儲けを勘案して値引きもするため、当然料金は店によってけっこう異な ってくる。器材は大元のクルーズ船で借りることもできるが(旅行社で手配すれ ばそうなるのかも)、ダイブショップで手配する場合は自店の器材を貸し出すた め、器材代を大幅に安くしたり無料にしてくれる店もある。旅行社だとそうはな らないがクルーズ代金のほうを大きく値引いてくれたりもする。あとは、他店と の比較、その店の状況、交渉力や粘りで料金が決まるといったところだろうか。  事前手配であれば、早期手配割引のあるクルーズもあったと思うが、事前手配 するよりも現地で交渉して決めたほうが間違いなく安くなる(もし行くことにな った場合のためにシミラン諸島関係だけは事前にネットで料金等をいろいろ調べ ていた)。問題はその場で空きがあるかどうかなのだが、シミラン諸島クルーズ は人気もあるし、とくにこの時期はピークなので空きがない危険性も高い。わた しがいろいろ聞いてまわったときも満室のクルーズがあった。満室の場合にはス タッフルームも提供してくれるようで、それでも構わないならば手配できるとの ことだったが、スタッフルームでも料金は変わらないと言われた。幸いにも他の ショップで別の空きのあるクルーズもあり、そのクルーズのほうが安かったし、 器材サービスや値引きもいっぱいしてくれてラッキーだった。  ダイブクルーズには、全ての移動、船内宿泊(AC付き2人相部屋)、ダイビ ング(ガイド付き)、全食事、間食やコーヒー等が含まれており、3日間で11 ダイブ(内2ナイトダイブ)を潜った。ナイトダイブのライトは基本料金に含ま れていた。滞在中の出費はないが、ビール等のドリンクだけは別料金。  ポイント的には、期待値がかなり高かったうえ、世界各地の様々な素晴らしい ポイントの経験もあるせいか、噂ほどではないような気もしたが、冷静に客観視 すればやはり相当良い海域だと思える。パラオやシパダン海域などと比較すれば 物凄いと評価するほどではないと感じるが、一般的な海域に比べれば総合的にか なり良くて満足いくものだった。  年越しのカウントダウンはプーケット島のパトンで迎えたがこれは想像以上に 凄かった。日没から日出までずっと花火やハッピーバルーン(空へと放つ灯籠) が上がりっぱなしで、とくに21時頃から2時頃までは途切れることなく各所に て打ち上げ花火の大連発。カウントダウンの0時前後はビーチもメインストリー トもディスコもバーも動けないほどの熱気で、スプレーの大砲火、煙で見えなく なるほどの爆竹や大音響が乱れ飛んでいた。  ホテルや店や各所ではパーティやイベントが盛りだくさんで、無料でいろんな ショーが見れたり、フリービュッフェもいっぱいあってラッキーだった。ドリン クや商品、入場のハッピーアワー(終日の無料や割引)も至るところであった。  わざわざパトンでのカウントダウンを体験しようと、年越しを狙ってプーケッ ト入りしたが、ともかく物凄い盛り上がりだった。わたしは年明けを徹夜で堪能 して、そのまま朝6時過ぎにパトンを後にしてピピ島へと向かった。  ピピ島も新年ということもあって多くの旅行者であふれており、元旦から大勢 の日帰りツアー客も訪れていた。津波の最高到達位置を示す看板や津波発生時に 当地にいた人の話からその凄まじさの一端を垣間見ることはできたが、島の様子 はもはや津波の大被害を感じさせない復興ぶりだった。  ピピ島ではビーチやシュノーケリングを楽しむとともに、ローカル2ボートダ イブもやった。ダイブショップで働いているダイブマスターの女性と親しくなり、 二人っきりで海中探索。ピピ島で気に入っていることは遠征しなくても近場のロ ーカルダイブで充分に楽しめるところだ。エアーが続く限りということで2本と も1時間以上のダイビングを満喫した。  これまで彼女は、オーストラリア(ケアンズGBR日帰りダイブ)やフィリピ ン(パラワン島からのダイブクルーズ)、マレーシア(マブール島)のショップ で勤めていて、タイのピピ島へと来たそうだ。わたしもオーストラリアやフィリ ピンで潜った経験も多いが、とくにマブール島は半年前に訪れたばかりなので、 マブール海域や近隣のシパダン海域の話で盛り上がった。むかしわたしがシパダ ン島に滞在したときの話も興味深く聞いていたが(現在ではシパダン島には滞在 できない)、「マブールにいたときもマブールダイブばかりで、いくらシパダン 遠征が多くても外人スタッフのシパダン遠征同行には制限があってあまり潜れな かったんですよ」と言っていた。  このピピ島でも遠征ダイブにはほとんど行けないらしい。ピピ島とプーケット 島のあいだのポイントへ遠征ダイブをするならば、ピピ島よりもプーケット島か ら行く人がほとんどだろうし、個人的にもピピ島で良いのはローカルダイブだと 思うので、ピピ島に滞在するダイバーはローカルダイブ目当てが多くて、あまり ここから遠征ダイブはしないのだろう。料金的にもピピ島ダイブならばピピ島滞 在のほうが安いが、先述の遠征ダイブだとプーケット島からのほうが安い。まし てや、ピピ島からのシミラン諸島行きなんて皆無と言っていいそうだ。まだ彼女 はシミラン海域を潜ったことがなく、「ピピを離れる前にぜひシミランに行って みたい。どんな感じでした?」と聞いてきたので、潜ったばかりのシミランの海 況を話してあげた。 「つぎはパラオで働きたい」と言っていたので、まだパラオに行ったことがない 彼女にパラオのダイビングのこと、島や街の状況などを教えてあげた。「まだま だもっといろんな海を巡りたいけど、最終的には沖縄に落ち着きたいかな」とも 話していた。もうそれほど長くはピピ島に居ないとのことだったので、この地で 彼女と再会することはないだろうが、縁があればこの広い世界や海のどこかで再 び巡り逢えるかもしれない。  クラビに寄ったあとバンコクへ戻ってからは、久々にカオサンへ訪れてバンコ ク市内観光や買物もした。確かめてみたら、タイには何度も訪れているが、バン コク自体へ行かなかったり、バンコクInOutでもバンコク泊はしなかったり、 とカオサンへ行ったのは、2000年のブータン旅行の帰りに投宿して以来、じ つに約9年ぶりだった。  カオサン周辺は便利だが欧米ナイズされ過ぎてそれほど好きではないし、あま り興味もないので、詳しく探索したわけでもないが、カオサンロード自体は9年 もの年月が経っているわりにそれほど変わっていないように感じられた。そのぶ ん、栄えている範囲が広がったり、周辺に飛び地しているような感じだった。  ピピ島のダイブショップの彼女からは死者まで出たバンコクでの火災の話も聞 かされたが、パトンでの年越しの状況から察するに、火も使ったあれだけの大騒 ぎとなれば、火事になっても不思議ではないような気もする。パトンでわたしが 泊まったGH前のバーでもボヤがあって消化活動したし、服が焼けたり焦げたり した人や火傷を負った人、焦げ痕が残っている建物なんかも見かけた。  因みに、ピピ島でのローカルダイブは、昼食付き器材込みの2ボートダイブで 2500B。島内統一価格(例外がないとも言い切れないが)のためショップを まわって交渉しても効果はないはずなので、気に入ったショップにするのがいい と思う。わたしも数軒まわったものの、料金はどこも同じで島内統一だから値引 けないと言われたが、クレジットカード手数料の3%はおまけしてくれた。もち ろん器材持参であれば料金は下がる。カオラックやプーケット島のほうは料金が ダイブショップや旅行社によって違ったり、値引き交渉の余地も大いにある。  プーケット島(パトンから港までのピックアップを含む)からピピ島へのボー トは350〜500B(400〜450Bが多いが350Bで手配)。ピピ島か らクラビまでのボートも350〜500B(400〜450Bが多く、350B のボートは出航時刻が限定だったため都合が合わず400Bで手配)だった。  プーケットやクラビとバンコク間の移動費用は、いろいろ調べて比較したわけ ではないが、わたしが使った大型バスはAC付きで500B程度だった。格安航 空会社の台頭で空路が安価になったとはいえ、夜行移動のほうが都合の良いスケ ジュールならばバスも便利に使えるし、まだまだ料金的にも格安航空会社の空路 よりも陸路のほうが断然安い。とくにクリスマス前から年明けにかけてのプーケ ットやクラビ便だとあまり値引きがないため価格差もより大きくなる。  一般物価はしっかり検証していないが、プーケットでバンコクの1.5倍、ピ ピだと2倍くらいのように感じられた。あくまで感覚なので実際にはそれほどの 差はないようにも思える。  当然宿もカオサンの安GHなんかと比べれば全然高く、とくにこの時期はさら に高騰している。頑張って安GHを探しても一部屋500B〜といったところだ ろうか(ビーチや繁華街から離れた不便な場所やプーケットタウンならばもっと 安い)。安いGH自体は知っていなくてもきちんと探せば見つかるが、この時期 だとかなり混んでいるため満室が多く、空いている安いGHを見つけるのは目星 がないと大変かもしれない。とくに夕刻以降になると非常に厳しくなるため、こ の時期に現地で宿を探すのならば午前中に入ることを勧める。高級ホテルについ ては、12月頭のバンコク国際空港閉鎖の影響で空きが出て相場も下がった、と 旅行社の人が言っていた。  といった感じで、12月上旬にはバンコクの国際空港閉鎖騒ぎでちょっとばか り心配したし、何の計画もせずに旅立ったが、タイ南西部を巡るリゾート&ダイ ビング三昧の旅を大いに楽しむことができた。                        タイ南西部旅行概況 おわり